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仕掛け #校長室

 初任の頃、先輩の先生の授業を見ようとしても、引っ込み思案でなかなかお願いできないことがありました。なので、その先生の授業が終わったあと、板書の様子を廊下からのぞき見て、あ~、なるほど とメモをしたりしていました。
 今の東高はその点、校内での教員研修の一つとして、互見(ごけん)授業というのがあります。堂々と(笑)教室に侵入し、授業の手法を見、授業者に質問も可。勉強になりますね。

さて、朝の打合せで、授業を公開しますから見に来て下さいとのアナウンス。喜んで見に行きました。

左奥が授業者、多くの先生が見に来ていました。

授業の内容は

あなたは何主義?

 「様々な政治経済上の論点を考えながら、自分の政治経済的思想の位置を理解しよう」という目標が立てられています。橋本努著「経済倫理=あなたは何主義?」(講談社選書メチエ)を活用した授業です。

ええと、これどういう意味かわかる?

この瞬間が大事ですね。
 実は自分の政治経済的思想がわかるという目標は「仕掛け」です。この授業のポイントはグラフ上のポジションを数値化していくための質問にこそあります。
 たとえば生徒は「企業犯罪を外部機関へ通報する内部告発者を強く守り、企業内部の自浄作用に期待すべきではない。」という質問に「そう思う」とか「そう思わない」とかを選択しなければなりません。生徒は、その質問の意味を理解しようとして、自分で調べ、グループの中で情報を交換する。理解は他に説明することで一層深まります。
 そして、それでもわからなければ、先生に質問する。
 知りたい、理解したいという欲求で頭がアクティブになる。ただ単に知識を講義して「覚えなさい」と言う授業とは、雲泥の差があります。

質問に答える形での先生の解説
この瞬間が、この授業の見所です。

仕掛けのよく出来た(よく構成された)授業だなあと感心してみていると、「せっかく見に来ているんだから、校長先生に質問してもよいぞ~!」って、
ええええ~ えっと、これはね……
おかげで、わたしの脳もアクティブになりました。